下部内視鏡検査に変わる新しい検査方法の比較

消化器内科
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Multicentre, prospective, randomised study comparing the diagnostic yield of colon capsule endoscopy versus CT colonography in a screening population (the TOPAZ study)

Gut. 2020 Dec 18;gutjnl-2020-322578. doi: 10.1136/gutjnl-2020-322578. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33443017/


P:50~75 歳の患者(アフリカ系米国人 n=320)

E:CCE群(大腸カプセル内視鏡検査)

C: CT コロノグラフィー(CTC)+盲検 OC(大腸内視鏡検査)群

O:6mm以上のポリープの診断率

下部内視鏡検査は早期の新生物(腫瘍やポリープなど)発見にとても有用であることはご存知だと思います。もちろん人が行う検査ですので、必ずどんな新生物も発見できるというわけではありません。また、下部内視鏡検査は人によりますが、苦痛と感じる方が多い様です。実際目の前で悶え苦しんでいる姿を目の当たりにしたことがあります。私は経験がありませんが。

その代替検査方法として大腸カプセル内視鏡や、CTコロノグラフィーなどがあげられます。カプセル内視鏡は口から飲み込んだカプセルの内蔵されたカメラにより大腸内の観察をし、腫瘍などの所見を認めないかを評価するものです。飲み込むだけですので苦痛はありませんし、基本排便と共に排出されます(されない場合は内視鏡的摘出術を行います)。

CTコロノグラフィーは腹部のCTを撮影し、その後腸管だけを3Dに再構成して評価する方法です。しかし、CTでどこまで詳しく評価できるかというところは疑問があります。大きな病変でしたらわかることが多いとは思いますが、小さな病変は検出できるかどうか難しいところです。(これも評価者の力量次第というところではありますが)

今回の論文ではカプセル内視鏡はCTコロノグラフィーに比べて6mm以上のポリープなどの検出は高く、10mm以上では大きな差はなかったという結果になっています。CTは放射線の被曝をもってしてできる検査ではあるので、侵襲の低いカプセル内視鏡で小さな病変から粗大病変まで検出率が高いのはメリットであるといえます。しかし、これはこの二つの検査の比較をした場合であって、あくまで下部内視鏡検査の検出率には及ばないということが重要です。

今後技術の進歩と共にカプセル内視鏡などの代替検査の精度が上がっていくことが望まれますね。

特に日本の企業様には期待しております。

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Objective: Colon capsule endoscopy (CCE) has shown promise for colorectal neoplasia detection compared with optical colonoscopy (OC), but has not been compared with other screening tests in average risk screening patients.

Design: Patients 50 to 75 years of age (African Americans, 45-75 years) were randomised to CCE or CT colonography (CTC) and subsequent blinded OC. The primary endpoint was diagnostic yield of polyps ≥6 mm with CCE or CTC. Secondary endpoints included accuracy for size and histology, examination completeness, number/proportion of subjects with polyps and adenomas ≥6 mm and ≥10 mm, subject satisfaction and safety.

Results: From 320 enrolled subjects, data from 286 (89.4%) were evaluable. The proportion of subjects with any polyp ≥6 mm confirmed by OC was 31.6% for CCE versus 8.6% for CTC (pPr non-inferiority and superiority=0.999). The diagnostic yield of polyps ≥10 mm was 13.5% with CCE versus 6.3% with CTC (pPr non-inferiority=0.9954). The sensitivity and specificity of CCE for polyps ≥6 mm was 79.2% and 96.3% while that of CTC was 26.8% and 98.9%. The sensitivity and specificity of CCE for polyps ≥10 mm was 85.7% and 98.2% compared with 50% and 99.1% for CTC. Both tests were well tolerated/safe.

Conclusion: CCE was superior to CTC for detection of polyps ≥6 mm and non-inferior for identification of polyps ≥10 mm. CCE should be considered comparable or superior to CTC as a colorectal neoplasia screening test, although neither test is as effective as OC.

目的:大腸カプセル内視鏡検査(CCE)は、大腸内視鏡検査(OC)と比較して、大腸新生物の検出に有望であることが示されているが、平均的なリスクの患者のスクリーニングにおいては、他のスクリーニング検査と比較されていない。

デザイン:50~75 歳の患者(アフリカ系米国人,45~75 歳)を、CCE群または CT コロノグラフィー(CTC)+盲検 OC群に無作為に割り付けた.一次エンドポイントは、CCEまたはCTCによる6mm以上のポリープの診断率とした。副次的エンドポイントは、サイズおよび組織学の精度、検査の完全性、6mm以上および10mm以上のポリープおよび腺腫を有する被験者の数と割合、被験者の満足度および安全性とした。

結果:登録された320人の被験者のうち、286人(89.4%)のデータが評価可能であった。OCで6mm以上のポリープが確認された被験者の割合は、CCEで31.6%、CTCで8.6%であった(pPr非劣性・優越性=0.999)。10mm以上のポリープの診断率は、CCEで13.5%、CTCで6.3%であった(pPr非劣性=0.9954)。6mm以上のポリープに対するCCEの感度は79.2%、特異度は96.3%であり、CTCの感度は26.8%、特異度は98.9%であった。10mm以上のポリープに対するCCEの感度および特異度は,CTCの50%および99.1%に対し,85.7%および98.2%であった。いずれの検査も忍容性・安全性は良好であった。

結論:CCEは6mm以上のポリープの検出ではCTCより優れており、10mm以上のポリープにおいては劣っていなかった。どちらの検査もOCほど有効ではないが、CCEは大腸新生物スクリーニング検査としてCTCと同等かそれ以上と考えるべきである。

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