TULIP-1 SLEにおけるアニフロルマブの有用性

SLE/CLE
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Type I interferon inhibitor anifrolumab in active systemic lupus erythematosus (TULIP-1): a randomised, controlled, phase 3 trial

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論文概要

anifrolumabは、Ⅰ型インターフェロン受容体のサブユニット1に結合する完全ヒトモノクローナル抗体。

Ⅰ型インターフェロン遺伝子発現の増加がSLEの成人患者の60%~80%に見られる。

TULIP 1試験では、条件に該当する457人の患者を無作為化し(1:2:2)、150mgまたは300mgのanifrolumab投与群とプラセボ投与群に分けて4週間ごとに静脈内注射を一定用量行い、SRI4で疾患活動性の低下を測定することによりanifrolumabの奏効性を評価した。

P:18~70歳の中等度から重度のSLE

E:アニフロルマブ150mg orアニフロルマブ300mg 4週間毎静脈内投与

C:プラセボ4週間毎静脈内投与

O:52週目にSLE responder index-4(SRI-4)を達成した患者の割合

背景

I型インターフェロンは、全身性エリテマトーデス(SLE)の病因に関与している。第2相試験において、I型インターフェロン受容体サブユニット1に対するヒトモノクローナル抗体であるアニフロルマブは、インターフェロン遺伝子を抑制し、SLEの疾患活動性を大幅に低下させた。今回、標準治療下で中等度から重度の疾患活動性を示す成人のSLE患者を対象とした第3相試験において、プラセボに対してアニフロルマブの有効性を確認することを目的とした。

方法

TULIP-1は、18カ国123施設で実施された二重盲検、無作為化、対照、第3相試験。対象患者は18~70歳の中等度から重度のSLEで、プレドニゾンや抗マラリア薬、アザチオプリン、ミゾリビン、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキサートなどで治療継続し、安定している者とした。患者は、プラセボ、アニフロルマブ150mg、またはアニフロルマブ300mgを4週間毎に静脈内投与し、48週間投与するよう無作為に割り付けられた(2:1:2)。ベースライン時にプレドニゾンまたは同等の治療効果が見込める他薬剤が10mg/日以上投与されていた患者に対して、緩徐な経口コルチコステロイドの漸減をしながら、安定した標準治療を継続した。主要評価項目は、52週目にSLE responder index-4(SRI-4)を達成した患者の割合を、アニフロルマブ300mg投与群とプラセボ投与群の比較とした。主要な副次評価項目は、アニフロルマブ300mg投与群とプラセボ投与群との比較で、項目としては52週目にSRI-4を達成したインターフェロン遺伝子発現シグネチャーテスト高値グループの患者の割合;ベースラインで10mg/日以上のコルチコステロイドを使用していた患者のうち、40週目から52週目までに7.5mg/日以下への持続的な減量を達成した患者の割合;ベースライン時にCLASI(皮膚エリテマトーデスの病巣面積と重症度の指標)活動性スコアが10以上で、12週目までにCLASIスコアの50%以上の減少を達成した患者の割合;24週目にSRI-4を達成した患者の割合;52週目までの年換算の再燃率とした。52週目には、BICLA(British Isles Lupus Assessment Group based composite lupus assessment)など、その他の疾患活動の評価や安全性も評価した。有効性および安全性の解析は、試験薬を少なくとも1回投与された患者の集団を対象とした。本試験はClinicalTrials.govに登録された(NCT02446912)。

結果

2015年6月9日から2017年6月16日の間に、457名の患者をアニフロルマブ300mg群(n=180)、アニフロルマブ150mg群(n=93)、プラセボ群(n=184)に無作為に割り付けた。52週目にSRI-4奏功を示した患者の割合は、アニフロルマブ300mg群(180例中65[36%])とプラセボ群(184例中74[40%])差 4.2[95%CI -14.2~5.8]、p=0.41)で同程度であった。同様に、24 週目に SRI-4 奏効を示した患者の割合、およびインターフェロン遺伝子シグネチャーが高いサブグループの患者の 52 週目での SRI-4 奏効を示した患者の割合は、アニフロルマブ群とプラセボ群で差がなかった。ベースラインの経口コルチコステロイドが10mg/日以上であった患者において、7.5mg/日以下への持続的な減量を達成したのは、アニフロルマブ 300mg 群では 103 例中 42 例(41%)、プラセボ群では 102 例中 33 例(32%)であった(差 8.9[95% CI 4.1~21.9])。ベースラインでCLASIアクティビティスコアが10以上の患者において、12週目までに少なくとも50%の減少を達成したのは、アニフロルマブ300mg群では58名中24名(42%)、プラセボ群では54名中14名(25%)であった(差17.0[95%CI -0.3~34.3])。年単位での再燃率は、アニフロルマブ群で0.60、プラセボ群で0.72であった(率比0.83[95%CI 0.60~1.14])。BICLAの奏功率は、アニフロルマブ300mg投与群180例中67例(37%)、プラセボ投与群184例中49例(27%)であった(差10.1[95%CI 0.6~19.7])。アニフロルマブの安全性プロファイルは、第2相試験で観察されたものと同様であり、重篤な有害事象が発生した患者の割合は、両群間でほぼ同じであった(アニフロルマブ300mg投与群では180名中25名[14%]、アニフロルマブ150mg投与群では93名中10名[11%]、プラセボ投与群では184名中30名[16%])。

結論

主要評価項目は達成されなかったが、経口コルチコステロイド投与量の減少、CLASI奏功率、BICLA奏功率などの副次的評価項目は、プラセボと比較してアニフロルマブの臨床的有用性を示唆している。アニフロルマブの有効性を示す決定的な証拠は、さらなる第3相試験のデータを待つ必要がある。1年間の第3相試験では、一般集団への適用条件などが不完全であること、安全性に反する事象の希少性に伴う検出の難しさ、さらに事前に規定した投薬制限ルールによる合併症などの限界があるものの、今回の結果においては、標準的な治療を受けながらSLEが活動性を示している患者にとって、アニフロルマブが治療の選択肢となる可能性を示唆している。

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TULIP-1 (Treatment of Uncontrolled Lupus via the Interferon Pathway)

●SRI4 レスポンダー

①SELENA SLEDAIスコアが4点以上改善(減少)
②PGAの悪化なし(スコアの増加が0.3点未満)
③BILAGでカテゴリーAに悪化した臓器系がない、かつカテゴリーBに悪化した臓器系が2つ以上ない

3つの基準をすべて満たす患者を「SRI4 レスポンダー」と定義する。
Furie RA et al.: Arthritis Rheum 61: 1143-1151, 2009

●CLASI-A

皮膚エリテマトーデス疾患エリアおよび重症度インデックス・アクティビティ

●BICLA (British Isles Lupus Assessment Group based Composite Lupus Assessment)

BICLAでは、ベースライン時に疾患活動性を持つ全ての臓器において疾患活動性が改善し、且つ、疾患活動性を持たない臓器に新たなフレアの出現が存在しないことを条件としている。


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